シノハラ防災 70年の歴史を社会に活かす  -70周年記念誌ー より

防災のあり方は年々異なる しかし「安全・安心」への意識は今も昔も変わらない

今回、70周年の社史を制作するにあたって、改めて(というより初めて)当社の歴史を確認する事ができました。
祖父や父(現:相談役)が自宅に消火器を大量に運んで来たり、学生時には詰替えや点検作業を手伝ったりと、子供の頃から「防災」の仕事が身近にある環境でしたが、社会情勢や消防法との関わりの中で当社がどの様な役割を果たし、お客様や社会に必要な存在として評価をいただいて企業として続いてきたのか。「防災」に関わる「シノハラ防災」の事を深く自身に刻み込む機会となりました。
祖父が創業し、父や叔父達により引き継がれてきた「防災」とういう仕事をこれからの10年、20年、30年へとどのように繋いでいくか…  
事業を継続していくにあたって様々な場面で耳にする「変わらない(変えてはいけない)もの」と「変えていくもの」を明確にして日々を実行していく。それを積み重ねた毎日の結果がその先の未来のかたちになっていくものと考えるに至りました。

【変わらないもの】
「安全と安心」を防災という仕事を通じてお客様 ひいては社会にご提供する事。そしてその仕事をしているというプライドです。プライドというと少し傲慢な印象になりますが、簡単に言うと「防災」という仕事がお客様や社会のお役にたっているという気持ちです。
子供の頃、父に「お父さんは何の仕事をしているの?」と聞いたことがありました。その時、父が「人の命を守っている仕事だよ」と答えたのを覚えています。恐らく、当時の私には防災の仕事を理解する事が難しかった故の父の回答だとは思いますが、「人命を守る」、この一言が「防災」や「社会貢献」の原点であり、このような応えを役職員はじめ当社に関わる全ての人が自信を持って発する事ができる会社を目指したいと思っています。
また、シノハラ防災としての行動の全てが「安全と安心」に繋がっているかを確かめ、それを判断基準とすることが未来へ繋がる1本の揺るがない道標となると考えています。

【変えていくもの】
『防災』の仕事とは文字通り「災い」を「防ぐ」と考えています。人や建物などに振り掛かる「災いを防ぐ(防止・予防)」という意味で捉えると当社の仕事の範囲は限りなく広がっていきます。
創業より70年を経て当社も社会情勢や消防法など様々な変化に対応し、現在に至ってます。創業時は進駐軍向けの消火器部品の製造に始まり、その後、消火器の販売、各種の消防用設備の点検や施工を行える体制に徐々に発展してきました。現在は設備に対してだけでなく、日常の防火・防災管理に関わる各種点検業務や消防法とは別の建築基準法に基づく各種検査(調査)業務も請け負っています。
創業時より現在まで火災の予防や拡大防止を中心とする消防関係の事業が中心となっていますが、震災や風水害など自然災害に関わる事業もこの先において避けては通れない防災の分野です。また、建材や設備の技術革新によって火災の脅威が少なくなり、更に、現在有る一部の業務はAIにとって代わられる時期が来るかとは思います。が、一方でその火災の脅威を減らす事や最新設備を取り入れる過程において技術や関連する消防法などはより複雑化されると推測します。複雑な技術や法律をいかに分かり易くひも解いてお客様へ伝えるかも、防災業としての一つの役割だと感じています。
今後は今までよりも更に早いスピードでお客様や社会の持つ「災い」の定義が大きく変わってくる事が予想されます。時代や社会に応じて変わっていく「災い」を的確に捉え、当社の事業として形にしていく事が重要であると考えています。

ここで再度「変わらないもの」に戻ります。
「災いを防ぐ」ことが「安全と安心」のご提供に繋がり、結果的に当社がお客様や社会にとって必要な存在となり、社会貢献に繋がっていく。今までも、これからもシノハラ防災が「防災」という変わらない一つの基軸から逸れることなく事業を日々継続していく事が次の10年、20年、30年、そしてその先へと繋がっていくものと考えています。

                                        代表取締役社長 篠原 徹